インタビュー

施設運営はクリエイティブ! 目の前にある対象を好きになれる才能でONもOFFも欲張りに生きる

渚園 施設管理長 鈴木さん

静岡県浜松市中央区にある人気のキャンプ場・渚園。

渚園は、音楽フェスやフリーマーケットなどたくさんのイベントが開催されることもあり、メディアやSNSでも取り上げられることが多くあります。

その渚園を浜松市から委託され、施設の管理・運営を担っているのが東海ビル管理株式会社(以下:東海ビル管理)です。

施設管理というと、ビルのメンテナンスや清掃、警備などの裏方業務が中心と思われがちですが、実は渚園で開催されるイベントは、東海ビル管理の社員が企画しています!

今回は、渚園の施設管理長として働く鈴木さんを紹介します。

渚園 施設管理長 鈴木さん

広告代理店での経験を活かし地域に貢献できる仕事へ異業種転職

—職歴や入社の経緯を教えてください

地元浜松市の広告代理店やFM放送局で長年働いてきて、東海ビル管理株式会社には令和2年5月に入社しました。
現在は、渚園の施設管理長を務めています。

もともと好奇心が旺盛で、知らないことでもやってみようと思うタイプでした。
広告代理店に勤務していた時代には、浜松市だけにバイクメーカーのプロモーションを担当したことをきっかけにバイクに乗るようになり、日本各地をめぐったこともあります。
それまで培ってきた経験やスキルを活かして浜松市という地域のお役にたてればと思い、東海ビル管理の採用に応募しました。

—まったく違う職種からの転職のように見えますが?

まったく違うとは思ってないですね。広告代理店も施設管理もどうすれば利用者様に喜んでもらえるのか、を考えることが仕事の核にあるので、むしろやっていることはプロモーションの仕事とほとんど同じだと思います。

プロモーションの仕事でもブランディングをはじめ、プランニング、予算管理、スケジューリング、デザイン、イベント運営をやってきました。
今の仕事はそこに行政のルールに沿った管理や報告書が増えたくらいで、それまでの仕事との違和感やギャップはあまりありませんでしたね。

渚園の風景

渚園・施設管理長の仕事は多面的

—渚園ではどのような仕事をしていますか?

渚園の施設管理・運営が主な仕事です。
キャンプ場の受付やグッズ販売のほか、渚園で開催するイベントの企画などもおこなっています。

実は、渚園は浜松市内でもちょっと特殊な場所で、弁天島という周りが海に囲まれた島のため、海風がとても強いのが特徴です。
初心者キャンパーさんだと火の取り扱いに慣れていない人も多いため、火事にならないように注意喚起することもしています。

ほかにも施設管理の特徴としては、運営の委託期間が5年と決まっています。
そのため更新するには、提案書や年度計画を作って行政にプレゼンを行い、入札されなければなりません。
こうした更新のためにおこなう行政とのやりとりも私の重要な仕事です。

—求人についてですが渚園で働くには、やはりキャンプやアウトドアの知識は必要ですか?

会社の仕事としては施設管理が主な仕事ですので、キャンプの知識はなくても仕事自体に支障が出ることはありません。
キャンプに詳しくないスタッフも働いていますが、知っておいて損はないと思います。

特にここ最近では、キャンプブームの影響でSNSなどを見て来られる初心者キャンパーも増えてきました。
なかには新品の道具をドサッと持ってきて「やりかたを教えてください」というかたもいらっしゃいます。

初心者さんのなかには、テントやタープのペグを逆向きに刺してしまう人もいるんですよ。
ペグがすっぽ抜けると風で飛んでいって自分だけでなく周囲にも危ないので、きちんとした設営方法をレクチャーすることもありますね。

テントやタープのペグとは、テントを地面に固定するための「杭(くい)」のこと。
しっかりと地面に打ち込むことで、テントやタープが風などで飛ばされないように固定されます。

—渚園ではゆるキャン△とのコラボを積極的に行っていますが、反響はあったのでしょうか?

アニメで放映された『ゆるキャン△ SEASON2』は浜松市も舞台になり渚園も登場するお話だったので、何かコラボできないかなとは思っていました。渚園にとってはめったに訪れない、大きなチャンスですからね。

シーズン2が始まる前に、シーズン1の舞台になった山梨県へ視察にも行ってきました。
コラボグッズの商品企画は、若いスタッフが主導で進めてくれて、今も継続して新しい商品を販売し続けていますよ。

ゆるキャン△とコラボするタイミングで、渚園ではキャンプサイトのネット予約やキャッシュレス決済を導入し、利便性をアップできた点は大きかったです。
最近、施設が改修されきれいになったことも、安定した利用者確保の追い風になっています。

だいたい土日は満場で、天気が良ければ平日でもお客様は来てくれています。

浜松市以外から来られることも多いです。例えば車でワーケーションしているかた、電車に乗ってスーツケースでタープを持ってきてコーヒー飲んで夕方には帰るかたなど、いろいろなかたに利用してもらっています。

渚園 施設管理長 鈴木さん


—施設管理の仕事で大切なポイントとは?

この仕事では、ただ施設をキレイにしておけばいいだけではないんです。
受付や清掃、販売、問い合わせ対応、設備点検などのルーティンワークはやって当たり前と認識されています。

大切なのは、渚園にいかにプラスアルファのイメージを乗せられる企画を立て、運営できるかという点です。

先ほど施設管理は5年の期限があり更新するという話がでましたが、次につなげるにはこのようなプラスアルファの部分が大きく作用します。

また、従来のキャンプのイメージといえば大勢でバーベキューでした。
しかし最近はキャンプと言えばみんあで集まってワイワイするようなタイルではなく、『ゆるキャン△』のように個々で静かにゆったりしたソロキャンプをメインとした楽しみ方に変わってきています。

ソロキャンとバーベキューはあまりに層が違うため同じエリアに存在できません。
以前は渚園でもバーベキュー向けの食材などを用意していましたが、現在では取り扱いをやめる方向に切り替えています。

運営するうえでは、こうした時勢の変化に敏感な対応も必要です。

プライベートでの気分転換は…

休日は、登山やキャンプを楽しんでいます。体を動かすことが好きで、40歳のときからマラソンを始めてウルトラマラソン(※)にも挑戦したことがあります。親子で富士登山に行ったこともあるんですよ。

時間ができたら1週間くらいかけて日本アルプス縦走に行ってみたいですね。

実はキャンプを始めたのは、渚園の仕事に就いてからです。
休みの日や仕事の合間時間にアウトドアショップへよく行き、ギアを見て周っています。

さきほど話題にしたように、利用者さんにテントの組み立て方や、たき火の火起こしのやり方など、キャンプのやり方を聞かれることもあるので、趣味のハウツーが仕事に役立つシーンは多いです。

むしろ私の場合、趣味が仕事に役立つというより、仕事で興味を持ったらプライベートの時間でも考えたり、自分でやってみたりしています。

(※)ウルトラマラソン…通常のフルマラソン42.195kmよりもずっと長い距離を走るマラソン競技のこと。100kmや200kmの大会もあり、参加するには一定の条件を満たす必要がある。

渚園 施設管理長 鈴木さん

職場では若い人にどんどん活躍してもらいたい

—渚園では何名くらい働いていますか?

現在は全部でスタッフ16名のうち、社員が7名です。
ただ施設管理の更新状況によっては体制人数が変わり、求人のボリュームが変わる可能性はあります。

今も若い世代のスタッフはいますが、これからの求人はもっともっと入ってきてもらえたらと思っています。
というのも利用者の世代は30代~40代くらいの男性が多いですが、最近では20代~30代の女性の利用者も増えてきつつあります。
そういったこれからのトレンドを読める流行に敏感な人や、利用者の「キャンプ場がこうだったらいいな」という要望を感じ取れる同世代の人材が必要です。

この仕事に向いているのは、好奇心旺盛で体を動かすのが好きな人

—どのような人がこの仕事に向いていると思いますか?

キャンプを知らなくても、知ってみよう・やってみようと思うような、好奇心旺盛な人が向いていると思います。
デスクワークももちろんあるのですが、体を動かすのが好きな人にもいいですね。

施設管理の仕事とはいえ、与えられた業務をこなすだけやお客様が来るのを待っているだけの姿勢では務まりません。
施設を、渚園をよりよくするため、お客様に喜んでもらうために何ができるかを考えて企画できる人が向いています。

キャンプやアウトドアが好きな人はもちろん、やったことがないけど興味はある人が来てくれると嬉しいですね。

渚園 施設管理長 鈴木さん

キャンプを文化にしたい

—今後の目標を教えてください

実はコロナ禍期間から、キャンプブームの影響の追い風もあり、渚園の業績の推移は順調です。
ただコロナ禍の収束以降、レジャーの対象が分散してきています。
キャンプブームを一過性のものではなく、文化として定着させられたらと思っています。

施設としても若い人を中心に活躍してもらい、若い人へバトンを渡していけたらと思っています。

余談:『ゆるキャン△』とは?
5人の女子高校生による冬キャンプの様子などをゆるっと描いた作品です。

キャンプのノウハウや作者のアウトドア体験をもとにした自然の美しさ、おいしそうなキャンプ飯の登場など数々の魅力があり、たくさんの人の心をつかんでいます。

ゆるキャン△では、実際にあるキャンプ場を舞台にしているため、描かれたシーンは現地と全く同じ。作品のなかで描かれたキャンプ場に行ったら、ゆるキャン△の世界観を疑似体験できることも人気の理由の1つでしょう。

渚園物販コーナーのゆるキャン△コーナー
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